ダイビングライセンスとは
ダイビングの歴史
人類は有史以来、海に憧れと畏怖の念を抱き続け、無限と思われた資源と食料を求め、より深く海に潜ってきました。紀元前4世紀にアレクサンダー王の時代に今で云う釣り鐘型潜水器で潜っていた記録があります。
1500年代には釣り鐘型潜水器(ダイビングベル)と呼ばれる、潜水装置で海中作業をした記録があります。
1805年にはドイツでトリトンと呼ばれる圧縮空気を使い、ダイビングが行われました。
1825年には、イギリス人のウィリアム・ジェームズが独立型潜水器を開発し、圧縮空気をタンクに詰めてダイビングする方法が生まれました。
また、アメリカ人のチャールズ・コンダートも同様の方法でニューヨークのイーストリバーでダイビングを行いました。
1865年には軽量の背中に背負うダンクが開発され、海綿採集や難破船の引き上げに使用されました。
1918年には日本人の大串という人物が200気圧のダイビングタンクを特許取得しました。それから100年が経った今でも、200気圧のタンクが使用されています。
1929年にフランス人のコルリューがダイビングマスクの特許を取得し、シュノーケルも開発されました。
1935年には、フランスの海軍司令官イーウース・ル・プリュールがフルフェイスマスクに現在のレギュレータの原型を開発し、 海でのレジャーダイビングを始めるために世界初のダイビングスクールがパリで開催され歴史上初のダイビングライセンスが認定発行されます。
1920年から1930年代にかけては、 ダイビングマスクやフィンの改良が進み、 さらに、口にくわえて空気を供給する部分フランス人のジョルジュ・コマネスが全自動ダブルホースのSCUBA(Self Contained Underwater Breathing Apparatus)を 開発しました。
これの頭文字をとって、日本では海に潜ることをスキューバダイビングとかスクーバダイビングと呼ばれていますが正しくはスクーバダイビングです。
また、この時代の器材はジョルジュコマネススクーバセットと言われる言葉も生まれ、残圧計も付いていましたがまだ、操作が難しく、 レジャーダイビングに普及するには至りませんでした。
1942年現在の形のデマントン方式のスクーバ器材をイギリス海軍士官ジャック・イブ・クストー(Jacques-Yves Cousteau,)が エミール・ガーニャンと協力して開発し、アクアラング(アクアラング(Aqua-Lung)水中の肺)と名づけ近代スクーバの幕開けとなります。
会社名もアクアラングとしました。アクアラング社は世界中に支店を持ちダイビング器材メーカーとして現在も存続しています。
1950年になると、ダイビング器材が市販されるようになり、一般の人々も海に潜ることができるようになりました。しかし 、特にトレーニングを受けていなかったため、事故が散発するようになりました。 この状況では、普及はもちろん、悪いイメージしか広まりませんでした。
そこで、ダイビングの安全な普及を目指すために、ザ・アンダーズ・エクスプローラー・クラブ(The Anders Explorer - Club)が 設立されました。彼らはアクアラング(Aqua-Lung)という水中の肺という意味を持つダイビング器材を開発し、 初の一般人向けのダイビングライセンスを発行しました。
1953年にはBSAC(The British Aqua Club)がロンドンに設立され、クラブの機関紙ネプチューンを通じて規模を拡大しました。 1956年にはメンバー数が2000人を超えました。
1958年、BSACの会長オスカー・グージェンが退任し、世界水中連盟(CMAS)を設立し、世界中に普及を広めていきました。 CMASは世界で3番目に設立されたダイビングライセンス指導団体であり、特権階級だけでなく、広くスクーバダイビングのシステム、 教本、指導法を模索し、普及に尽力しました。
これらの団体は、安全なダイビングの実践方法や技術、訓練プログラムを開発し、ダイビングコミュニティ全体のスタンダードを確立する役割を果たしました。
1959年にはジャック=イヴ・クストーもCMAS(World Underwater Federation)の普及活動に参加し、世界水中連盟は海の国連とも称されるようになりました。 また、クストーは自らダイビング専用船カリプソCalypso号を開発し、全世界の海に旅に出ます、その海の様子を撮影したものは、 沈黙の世界と云う映画で全世界に配信されました、。 海の世界がこんなに美しいものだと世界の人が知った初めての映画です。
その後、ダイビングライセンス取得の指導方法は世界中に広まり、さまざまな指導団体が生まれました。
一方日本では、高価な器材が買えず初期には消火器に5気圧ぐらい空気を詰めて、ホースをつないで、潜っていたのが、1950年代で(今の無茶をするユーチューバー) この人たちが、より深くより長く海に滞在する方法を求めて、イギリスやフランスに技術を習得に行きました。今でいう留学です。 日本のレジャーダイビングのパイオニアの人たちです。
【日本でのダイビング指導団体の誕生】
1957年初めて職業潜水団体「日本ダイビング協会」が誕生し、翌年「潜水科学協会」と改名されました。
1964年「社団法人海中開発技術協会」と言う公的機関に昇格しました。これを機に、旧潜水科学協会を支えてきた全国の代表ダイバーが集まり、 関東地区に「日本潜水会」中部地区に「中部日本潜水連盟」関西地区に「関西潜水連盟」の3団体が結成され 日本でのダイビング指導団体としてダイビングライセンスの発行を担い、ダイビングの技術や安全な潜水の方法に関する研究や指導、 普及活動を行う組織として活動をしました。
さらに、ダイビング器材の技術も進歩し、より安全かつ快適なダイビングが可能になりました。特に、BCD(浮力補正装置)やリギング(ダイビング用ハーネス)の進化は、潜水中の安定性と快適さを向上させました。 現代のダイビングは、スキューバ(自己完結型)ダイビングが主流です。潜水器材としては、タンク内の圧縮空気を供給するリギュレーター、水中での移動を支えるフィン、 目の保護と視界確保のためのマスク、浮力補正装置(BCD)、ウェットスーツやドライスーツなどが一般的に使用されます。 1980年半ばまでは、ごくコアな、屈強な海の男たちのスポーツであった、スキューバダイビングもダイビング器材や技術も進歩し、 より安全かつ快適なダイビングが可能になりました。特に、BC(BCD(Buoyancy Control Device、ボイヤンシー・ コントロール・デバイス)) (浮力補正装置)やリギング(ダイビング用ハーネス)の進化は、 潜水中の安定性と快適さを向上させ女性でもダイビングが可能になりました。
第一次のスキューバダイビングブームに火を着けたのが1987年「彼女が水着に きがえたら」原田知世主演の映画がきっかけになりました。
【最新の作業潜水の現状】
現在飽和潜水で、フランスのCOMEX社はヘリウムと酸素を使った潜水で460mの大深度まで潜れるようです。
一方、最新の大気圧潜水システムのJIMはイギリスで発明され、その後アメリカのOceaneering International社にて完成され、 450mの深度で72時間作業可能で海底が岩盤であれば水中バランス27kでダンスさえ踊れるという扱いやすさです。
作業者は内部で圧力を調整することができます。このような先端的な潜水技術は、海洋探査や油田のメンテナンスなど、 さまざまな産業で活用されています。 また、このような作業潜水に従事す場合、日本では潜水士の免許、国家資格が必要でこの免許は実地も無くレジャーダイバーとは関係ありませんが、普通ダイビングインストラクターは取得しておかなければなりません。
当然、私、筆者も取得しております。
【レジャーダイビングにはダイビングライセンスが必要】
ダイビングライセンスの発行に至るまでのダイビングの歴史を辿ると、ダイビング指導団体の誕生が重要な役割を果たしました。ダイビングの普及と安全性確保を目指すため、指導団体は体系化されたトレーニングプログラムを開発し、ライセンス制度を導入しました。
かつてはダイビングに関する正確なトレーニングやライセンス制度が存在しなかったため、個々のダイバーが無経験で自己流で行うことも多かったです。しかし、このような状況には大きなリスクが伴いました。安全なダイビングの実践には、専門的な知識や技術が必要であり、トレーニングを受けた上でのライセンス保持が求められるようになりました。
ダイビング指導団体は、世界各地でダイビングの普及と安全を促進するために設立されました。彼らは包括的なダイビングコースを提供し、初心者から上級者までのトレーニングを体系化しました。これにより、ダイバーは安全かつ効果的なダイビング技術を習得し、ライセンスを取得することが可能となりました。
ダイビングライセンスは、その保持者が特定の水域で自由にダイビングを楽しむための重要な証明書となっています。また、多くの国や地域で法的要件として認められており、商業ダイビングやダイビングガイドの活動においても必要不可欠です。
近年、レジャーダイビングは、冒険心をくすぐるスポーツとしてだけでなく、海洋環境の保護や海中生物の観察・研究などにも活用されています。 ダイビングは一般の人々にもより身近なアクティビティとなっており、観光地やリゾート地などでのダイビングツアーや体験ダイビングが盛んに行われ ています。さらに、ダイビングの技術や装備の進歩により、より深い海の探検や洞窟ダイビング、水中写真などのスペシャリティダイビングなど専門的なダイビングライセンスの種類も広がっ ています。
ダイビングは自然との触れ合いや海洋生物の観察、美しい海底の風景を楽しむだけでなく、 ストレス解消や冒険心を満たすアクティビティとしても人気があります。
今後も技術や環境への取り組みが進み、より安全で持続可能なダイビングが求められるでしょう。海洋保護活動や持続可能な観光の推進、プラスチックの削減など、 ダイビング業界と関係者の取り組みが海洋環境の保全に貢献することが期待されます。
ただし、安全に楽しむためには、どこかのダイビング指導団体で十分な訓練と知識やルールとマナーを学び認定を受けダイビングライセンスを取得することが 必要となります。
ダイビングライセンス種類について(一般的に)
ダイビングのライセンス制度は、安全なダイビングを実践するための基準や手順を定めたものです。これには様々な種類があり、ダイビングを行う個人が必要な知識と技術を身につけることが求められるようになりました。ライセンスを取得するためには、理論的な教育と実技のトレーニングを経る必要があります。
この制度の導入により、ダイビングの安全性が向上しました。ダイバーたちは事故やトラブルを防ぐための正しい手順を学び、危険を回避するための知識を身につけることができます。また、ダイビング業界全体でも、ライセンス制度を通じて安全性を確保する取り組みが進められました。
ダイビングライセンスには様々な種類があります。これらの種類について詳しく説明します。
1. オープンウォーターダイバー(OWD)
これは最も一般的なダイビングライセンスであり、初心者向けでエントリーレベルとしておすすめです。OWDを取得すると、水深18メートルまでのオープンウォーターダイビングが可能になります。
2. アドバンスドオープンウォーターダイバー(AOWD)
OWDを取得してからさらにスキルを向上させたい場合におすすめです。AOWDの取得により、より深い水深や追加のスキルを学び、30メートルまでのダイビングが可能になります。
3. レスキューダイバー
このライセンスは、他のダイバーの安全をサポートするためのスキルを習得します。レスキューダイバーの訓練では、事故時の応急処置や救助技術などが学ばれます。
4. ダイブマスター
ダイブマスターは、プロフェッショナルなレベルのダイバーであり、他のダイバーを指導することができます。このライセンスは、ダイビングガイドやインストラクターとしてのキャリアを追求する人に適しています。
5. インストラクター
このライセンスは、ダイビングの指導者としての能力を持つことを証明します。インストラクターは、初心者から上級者まで、幅広いレベルのダイバーを指導することができます。
※これらは一般的なダイビングライセンスの一部ですが、他にもさまざまなスペシャルティコースやテクニカルダイビングなど、より高度なスキルを習得できるライセンスもあります。自分の目標や興味に合ったライセンスを選ぶことが重要です。
イントロダクションダイブ
イントロダクションダイブは、初めてのダイビング体験をする人向けのプログラムです。インストラクターと一緒に水中世界を探索しながら、基本的なスキルと安全手順を学ぶことができます。
スペシャルティコース
スペシャルティコースは、特定のダイビング領域やスキルに特化したコースです。例えば、深海ダイビング、ナイトダイビング、水中写真など、個々の興味や目標に合わせて選択することができます。
テクニカルダイビング
テクニカルダイビングは、より高度なスキルと装備を必要とするダイビングの形態です。深い水深や洞窟、難しい水中環境などに挑戦するためのトレーニングと経験が必要です。
※これらは一般的なダイビングライセンスとコースの一部です。
現代では、ダイビングライセンスの発行が進化し、インターネットを通じてオンライン申請や学習が可能となりました。これにより、 より簡便かつ効率的にライセンス取得の手続きを行うことができます。 また、ダイビング指導団体のウェブサイトやオンラインプラットフォームには、豊富な情報やトレーニング資料が提供されており、 初心者から上級者まで幅広いニーズに対応しています。
学習モジュールの修了後は、実地トレーニングが必要です。指導団体が認定したダイビングスクールや指導者のもとで、実際のダイビング技術を練習します。水中での安全手順や装備の使い方、ダイビング計画の立て方など、実践的なスキルを習得します。
最終的に、学習と実地トレーニングの両方を終えたら、ライセンス試験が行われます。試験では、理論的な知識と実技に関するテストが課されます。合格することで、ダイビングライセンスが発行されます。
ダイビングライセンスの種類(CMASのCカード)について
ダイビングライセンスを講習を受けるとCカードを取得することが一般的です。Cカードは「Certification Card」の略で、さまざまなランクと種類があります。ダイビング指導団体が認定するCカードは、ダイビングの資格や免許として使用されます。現在、日本には30以上のダイビング指導団体が存在しています。1994年に設立されたレジャーダイビング認定カード普及協議会には、日本の主要なCカード発行組織11社が加盟しています。この協議会は、世界基準の「WRSTC最低指導基準(World Recreational Scuba Training Council)」と国際的な標準規格である「ISOダイビング基準」を採用しており、157カ国が参加しています。
したがって、日本の主要ダイビングライセンス指導団体が発行するエントリーレベルOW(オープンウォーター)カードは同一のレベルであり、157カ国で認められています。当店では、世界水中連盟(CMAS)のライセンスカードを発行しており、この基準を満たす1STARの認定を行っています。
なお、ダイビングのCカードは、労働安全衛生法高気圧作業安全衛生規則の潜水士免許とは異なるものです。潜水士免許は潜水を職業としている人が持つ国家資格であり、実技試験がないため、ダイビング未経験の方でも試験に合格すれば取得することができます。